展示会準備の「紙一重の戦い」
展示会の準備は時間との戦いだ。出展が決まってから本番まで1〜2か月しかなく、製品スライド、カタログ、配布チラシ、来場者向けのデモシナリオなど、作るべき資料が山積みになる。
D社(住宅設備メーカー、展示会年3回出展)のマーケティング担当者は、この「展示会前の地獄の2週間」をClaudeとGammaで乗り越えた経験を持つ。資料作成の総時間が従来比で約65%削減できたという。
どのように使ったか、具体的なプロセスを紹介する。
作るべき資料の全体像
D社が毎回の展示会で用意する資料は大まかに以下の種類だ。
- プレゼンテーションスライド(ブース内でのデモ用、15〜20枚)
- 製品説明シート(A4両面、製品ごとに5〜8種)
- 来場者向け配布チラシ(会社紹介+展示品概要)
- FAQシート(よくある質問と回答、ブーススタッフ用)
- デモシナリオ台本(スタッフが使う説明フロー)
従来はこれらをすべてデザイナーとやり取りしながら数週間かけて完成させていた。
ClaudeとGammaの役割分担
D社が採用した方法はシンプルで、「文章・構成はClaude、スライドの見た目はGamma」という分業だ。
ClaudeでコンテンツをMarkdown化する
最初にClaudeに展示会の目的と出展製品の概要を渡し、スライドの構成案と各ページのコンテンツをMarkdown形式で出力させる。
以下の情報を元に、展示会プレゼン用スライドのコンテンツを作成してください。
展示会名:インテリアライフスタイル展
ターゲット:インテリアデザイナー、工務店バイヤー
展示製品:アイランドキッチン新シリーズ3種
訴求ポイント:省スペース設計、天板素材のバリエーション、10年保証
スライド枚数:15枚
Markdown形式で各スライドのタイトルと箇条書きコンテンツを出力してください。
出力されたMarkdownを確認し、担当者が内容を修正する。ここで使う時間は30〜60分。従来のゼロから文章を考える作業(3〜4時間)に比べると大幅に短い。
GammaでスライドをAI生成する
Gamma(gamma.app)はMarkdownやテキストを入力するとプレゼンスライドをAIが自動生成してくれるツールだ。
Claudeで作ったMarkdownをGammaに貼り付け、テーマカラーをD社のコーポレートカラーに設定してスライドを生成すると、デザインされたスライドが数分で完成する。
Gammaが生成したスライドは個別に編集もできるので、ロゴの配置調整や写真の差し替えをその場で行える。完成したスライドはPDF・PowerPoint形式でエクスポートできるため、会場での投影にも対応する。
製品説明シートはClaudeのみで完結
製品ごとのA4説明シートは、ClaudeにA4両面のコンテンツをMarkdownで作成させ、それをInDesignやCanvaのテンプレートに流し込む方法を取った。文章を考える作業がなくなるため、1種の説明シートが15〜20分で仕上がるようになった。
FAQシートとデモシナリオもClaudeで
FAQシートは過去の展示会でスタッフが受けた質問リストをClaudeに渡し、「展示会の来場者向けにわかりやすく整理してほしい」と依頼するだけで下書きが完成した。
デモシナリオ台本は「5分間のキッチンデモ説明フロー」という指示と製品特長の箇条書きを渡すと、スタッフが読み上げやすい自然な話し言葉の台本を出してくれた。
担当者のコメント
実際に導入したD社の担当者(マーケティング歴8年)に聞いた感想を紹介する。
「最初は"AIが書いた文章って薄っぺらいのでは"と心配でした。でも製品の情報と訴求ポイントをちゃんと渡せば、自分が一から書くより整理された文章が出てくることが多い。自分はむしろ"編集者"として内容を磨く仕事に集中できるようになりました。」
「Gammaは正直驚きました。デザインセンスがない私でも、きれいなスライドが作れる。もちろん細かいブランドガイドライン通りには仕上がらないので、最終的にはデザイナーに確認してもらいますが、レビューの出発点として十分な品質です。」
時間の比較
D社のマーケ担当者が試算した工数比較は以下の通りだ。
| 資料種別 | 従来の所要時間 | AI活用後 |
|---|---|---|
| プレゼンスライド(15枚) | 8〜10時間 | 2〜3時間 |
| 製品説明シート(1種) | 1〜1.5時間 | 15〜20分 |
| FAQシート | 2〜3時間 | 30分 |
| デモシナリオ | 1〜2時間 | 20分 |
展示会1回あたりの資料作成総時間が30〜40時間から約12時間に減った計算になる。
注意点
写真・図版は人間が用意する
ClaudeもGammaも、実際の製品写真は自前で用意する必要がある。AIが生成するイラストは展示会資料に使うにはクオリティが不十分なことが多いため、製品写真の撮影・管理は引き続き重要だ。
ブランドガイドラインの最終確認は必須
Gammaが自動生成するデザインは、自社のブランドガイドライン(フォント、カラーコード等)と完全には一致しない場合がある。最終的にはデザイナーまたはブランド担当者がPowerPoint上でチェックすることを推奨する。
まとめ
展示会資料のAI化は、「ゼロから書く」という最も時間のかかる部分を省略できる点が大きい。ClaudeとGammaを組み合わせれば、担当者がコンテンツの精度に集中しながら、スピードも確保できる。次の展示会準備で試してみる価値は十分にある。