カタログ制作の現実的な課題

キッチン設備メーカーのカタログ制作は、毎年の定番業務でありながら相当な工数がかかる。製品ラインの更新、スペック表の改訂、写真キャプションの作成、各製品のセールスコピーの執筆——これらを制作会社に委託すると、それなりのコストがかかる。

製品数が多いと、カタログ1冊の制作に数週間から数ヶ月かかることもある。AIを使えばどこまで効率化できるか、実際に取り組んだ事例をもとに解説する。

自動化した3つのフロー

フロー1:製品仕様書からカタログ文章を生成する

メーカーが持っている製品仕様書(多くはExcelやWord形式)を構造化データに変換し、そこからカタログ掲載用の文章を生成するフローだ。

まずClaude Codeを使って、Excelの仕様シートをJSONに変換するスクリプトを作成した。

import pandas as pd
import json

def excel_to_product_json(excel_path: str) -> list[dict]:
    df = pd.read_excel(excel_path, sheet_name="製品仕様")
    products = []
    
    for _, row in df.iterrows():
        product = {
            "製品名": row["製品名"],
            "型番": row["型番"],
            "素材": row["素材"],
            "サイズ展開": str(row["サイズ展開"]),
            "カラー": row["カラー"],
            "特徴": [f for f in str(row["特徴"]).split("\n") if f],
            "想定価格帯": row["想定価格帯"]
        }
        products.append(product)
    
    return products

このJSONを入力としてClaudeにカタログ文章を生成させる。プロンプトにはブランドのトーン&マナーを含めた文章例を数件添付することで、ブランドガイドラインに沿った出力が安定した。

フロー2:製品画像の説明文を生成する

カタログには製品写真に添えるキャプションが必要だ。写真と仕様データを組み合わせてClaudeに渡すと、適切なキャプションを生成できる。

Claudeはマルチモーダル対応なので、製品画像ファイルをAPIに渡すことができる。

import base64
from pathlib import Path

def generate_image_caption(image_path: str, product_data: dict) -> str:
    with open(image_path, "rb") as f:
        image_data = base64.standard_b64encode(f.read()).decode("utf-8")
    
    response = client.messages.create(
        model="claude-opus-4-5",
        max_tokens=200,
        messages=[{
            "role": "user",
            "content": [
                {
                    "type": "image",
                    "source": {
                        "type": "base64",
                        "media_type": "image/jpeg",
                        "data": image_data
                    }
                },
                {
                    "type": "text",
                    "text": f"この製品画像に対するカタログキャプションを50字以内で書いてください。製品情報: {json.dumps(product_data, ensure_ascii=False)}"
                }
            ]
        }]
    )
    
    return response.content[0].text

フロー3:生成物をDTPデータ用CSVにまとめる

生成した文章とキャプションを、DTPソフト(InDesignなど)でのデータ流し込みに対応したCSV形式で出力するスクリプトを用意した。これにより、デザイナーがAI生成の文章をそのままInDesignのデータ結合機能で使える状態になる。

担当者が使い続けられる運用設計

スクリプトを作っただけでは終わらない。現場の担当者が実際に使い続けられる環境を整えることが、導入を成功させる鍵だ。

今回のケースでは以下の工夫を施した。

  • スクリプトをGUI化して、Excelファイルをドラッグ&ドロップするだけで動く形に
  • 生成した文章にフラグ欄を設け、レビュー状況をトラッキングできるようにした
  • よく使うプロンプトパターンを別ファイルで管理し、用途に応じて切り替えられるようにした

効果の実際

このフローを導入した結果、カタログ制作の文章生成工程にかかる時間が従来比でおよそ半分になった。制作会社への外注費についても、文章生成部分のコストを削減できた。

一方で削減できなかった部分もある。デザイン作業、写真撮影、最終校正は引き続き人の手が必要で、AIによる効率化の恩恵は主にライティング工程に集中した。

まとめ

キッチン設備のカタログ制作は、構造化データが揃っていれば文章生成の自動化になじみやすい業務だ。仕様書→JSON変換→文章生成→CSV出力というフローを整えることで、ライティング工程の負担を大きく減らせる。カタログ制作のコスト圧縮を検討している場合、まず1製品分を試作してみることをすすめる。