提案書を一から書き始めるとき、白紙のドキュメントを前にして手が止まる経験は誰にでもある。ChatGPTはそこを解消するのに向いている。ゼロから完成品を作るツールではなく、最初の30分で「捨てられる下書き」を用意してくれるツールとして使うのが正解だ。

ChatGPTに提案書を書かせると何が変わるか

一番大きな変化は、「構成を考える時間」がなくなることだ。提案書の骨格——背景、課題、提案内容、期待効果、費用感——はどのビジネスでも大体同じ形をしている。その枠組みを出力させるだけで、あとは中身を埋めるだけの状態になる。

実際、慣れてくると提案書の初稿を作るのに15〜20分で終わるようになった。以前は半日かかっていた作業だ。もちろんそのまま出せる品質ではないが、たたき台としては十分に機能する。

実際に使っているプロンプト

以下は筆者が実務で使っているプロンプトの雛形だ。「[ ]」の部分を案件ごとに書き換えて使う。

あなたは法人営業のコンサルタントです。以下の条件で提案書の構成と本文のたたき台を作ってください。

【提案先】[業種・会社規模・担当者の役職]
【課題・背景】[クライアントが抱えている問題・状況]
【提案したいこと】[自社のサービスや施策の内容]
【期待する効果】[数値目標や定性的なゴール]
【制約条件】[予算感・導入期間・社内の制約など]

出力形式:
1. エグゼクティブサマリー(3〜5行)
2. 現状の課題と背景
3. 提案内容(具体的な施策を3〜5点)
4. 期待効果と根拠
5. スケジュール感
6. 次のステップ

ビジネス文書として読める文体で書いてください。箇条書きを使う場合も、各項目を一文以上で説明してください。

ポイントはいくつかある。まず「コンサルタント」という役割を与えること。これだけで出力のトーンが提案書らしくなる。次に「箇条書きの各項目を一文以上で」という指示を入れること。指定しないと記号と単語が並ぶだけの骨格になってしまい、手直しが増える。

実際の出力例(抜粋)

上記プロンプトに対して、「中小製造業向けのITシステム導入提案」という条件で入力した場合、以下のような出力が得られた(一部抜粋)。


エグゼクティブサマリー

(※本文では太字なし。出力例として構造を示すために見出しを使っています)

貴社の生産管理業務において、受注情報の入力から納期確認までに平均2営業日を要している現状を踏まえ、クラウド型の生産管理システムの導入をご提案します。導入後3ヶ月以内に、情報確認にかかる工数を現状比50%削減できると見込んでいます。


このレベルのものが2〜3分で出る。数字の根拠や固有名詞は当然ながら自分で修正が必要だが、文章の流れと構成はそのまま使えることが多い。

人間が手を入れるべき3つのポイント

出力をそのまま提出するのはまだ早い。必ず以下の3点を確認する。

一つ目は数字の根拠だ。ChatGPTが出す「50%削減」「3ヶ月で回収」のような数字はあくまで例示であり、実際のデータに基づいていない。クライアントの状況に合わせて根拠のある数字に置き換える必要がある。

二つ目はクライアント固有の事情への言及だ。汎用的な提案書は相手に「テンプレートを送ってきた」と思われる。ヒアリングで得た具体的なエピソードや課題を1〜2箇所に差し込むだけで、読み手の受け取り方が変わる。

三つ目は文体の調整だ。ChatGPTの文体はやや硬く、日本語のビジネス文書としてわずかにぎこちない部分が残ることがある。音読してみると引っかかる箇所が見つかるので、そこを自分の言葉に直す。