社内マニュアルがない状態で何が起きるか、経験した人なら分かると思う。新人が来るたびに同じ説明をする。担当者が休むと業務が止まる。「あの手順、どこかに書いてなかったっけ」という会話が毎週繰り返される。

それを解決するためにNotionと生成AIを使った。特別なITスキルは必要なかった。かかったコストは月額数千円と、最初の3週間の準備時間だけだ。

中小企業でマニュアル整備が進まない本当の理由

「マニュアルを作る時間がない」と言われるが、正確には少し違う。時間がないのではなく、「どこから手をつければいいか分からない」「書いても誰も読まない」「更新が追いつかなくなる」という三重苦が重なって手が止まる。

NotionとAIの組み合わせは、この三つをまとめて解消するわけではない。ただ、最初のハードルを大きく下げてくれる。

実際にやったこと——3週間の立ち上げ手順

第1週:既存の情報を全部Notionに放り込む

まずNotionにワークスペースを作り、「社内wiki」というページを一つ作った。そこに、社内に散在していた情報を片っ端から移し始める。

  • メールの本文に書いてあった手順
  • 誰かのPCのデスクトップにあったExcelファイル
  • 口頭でしか伝わっていなかった暗黙のルール

完成度は気にしない。箇条書きでも、走り書きでも、とにかくNotionに入れることだけを目標にした。この作業に1週間かけた。

第2週:AIに清書させる

走り書きのメモをChatGPTやClaudeに渡して、「これを新入社員が読んでも分かるマニュアルの形に整えてください」と頼む。

AIが出した文章をそのまま使うのは少し危険だ。事実関係の確認と、自社の言葉遣いへの修正は必ず人間がやる。ただし下書きとして使うなら話は別で、ゼロから書くよりも圧倒的に速い。1時間かかっていた作業が15分になる感覚だった。

第3週:Notionの構造を整える

情報が集まったところで、初めて構造を整える。最初から綺麗な構造を作ろうとすると失敗する。内容が揃ってから整理する順番が正しい。

うちの会社では、部門別ではなく「業務フロー別」に整理した。「新規顧客対応」「請求書処理」「採用フロー」といった軸で分けると、実際に使うときに探しやすくなった。

NotionのAI機能を使うかどうか

NotionにはAI機能が内蔵されている。月額費用が追加でかかるが、Notion内で直接AIに文章を書かせたり要約させたりできる。

外部のChatGPTやClaudeと比べたとき、Notionのネイティブ機能の強みはNotionのページを直接参照できる点だ。「このページを要約して」「この手順に抜けがないか確認して」といった使い方がシームレスにできる。

一方で、外部AIのほうが文章の質が高いと感じる場面もある。用途によって使い分けるのが現実的だ。

3ヶ月運用して分かったこと

一番の誤算は、マニュアルを作っただけでは使われないということだった。Slack(社内チャット)で質問が来たときに「そのページに書いてあります」とリンクを貼り続ける作業を地道にやることで、徐々に「Notionで調べる」習慣が根付いてきた。

更新は思ったより苦ではなかった。Notionはブラウザやスマホから即編集できるので、「あ、この手順変わったな」と気づいた瞬間に直せる。担当者を決めて月次でレビューする仕組みも作ったが、日常的な細かい更新はむしろ非同期で行われていた。