リフォーム会社の「問い合わせ対応」が遅れる理由

キッチンリフォームを検討している消費者が問い合わせをした時、返答が遅いと他社に流れる。これはリフォーム会社の営業担当者も体感している現実だ。しかし現場は忙しく、問い合わせフォームのメールに即座に対応できないことも多い。

LINE BotにClaudeを組み込んで24時間対応の初期問い合わせシステムを作ったリフォーム会社の事例を紹介する。導入後、初回返答速度が平均12時間から即時に変わり、商談化率が改善した。

システムの設計思想

このLINE Botが担当するのは「初期ヒアリング」と「情報提供」だ。見積もりの確定・工事の提案・価格交渉は人間の担当者が行う。AIの役割をここに絞ることが重要だ。

Bot対応の範囲:

  • 24時間の初期問い合わせ受付
  • リフォームの種類・予算・希望時期のヒアリング
  • 基本的な費用感の案内
  • ショールームへの来場・現地調査のアポイント案内
  • FAQ対応(よくある質問の自動回答)

担当者対応の範囲:

  • 詳細な見積もり
  • 施工内容の提案
  • 現地調査の実施
  • 契約・工事

技術的な構成

使うツール

  • LINE公式アカウント(Messaging API)
  • Claude API(Anthropic)
  • Make(旧Integromat)またはn8n:LINEとClaudeをつなぐ
  • Notionまたはスプレッドシート:問い合わせ情報の記録

フローの概要

  1. ユーザーがLINE公式アカウントにメッセージを送る
  2. LINEのMessaging APIがWebhookで受信する
  3. Makeがこれを受け取ってClaudeに渡す
  4. ClaudeがコンテキストとSystemプロンプトを元に返答を生成する
  5. Makeを経由してLINEにメッセージを返す
  6. 会話履歴と顧客情報をNotionに記録する

Claudeのシステムプロンプト設計

LINE Botで最も重要なのはSystemプロンプトだ。ここでClaudeの「キャラクター・知識・行動範囲」を決める。

あなたは「[会社名]」のキッチンリフォーム相談AIアシスタントです。

【あなたの役割】
- 24時間、キッチンリフォームを検討中のお客様の初期相談を受け付ける
- お客様の希望・予算・状況をヒアリングする
- 弊社のサービス・費用感・流れについて案内する
- ショールームへの来場やオンライン相談のご予約を促す

【回答のルール】
- 親しみやすく、丁寧な言葉遣いで返答する(敬語、でも堅すぎない)
- 一度に送るメッセージは200文字以内
- 具体的な見積もり金額は「現地調査後にご提示する」と伝え、概算の相場感のみ案内する
- 競合他社を批判しない
- 答えられない専門的な質問は「担当者に確認してご連絡します」と伝える

【提供できる情報(社内情報)】
- 施工エリア:[エリア]
- ショールームの場所・営業時間:[情報]
- キッチンリフォームの一般的な費用感:50万〜200万円(内容による)
- 施工期間の目安:2〜5日間
- 見積もりは無料・現地調査は無料
- 支払い方法:[方法]

【NGワード・対応しない質問】
- 他社との価格比較
- 確定的な施工保証(「絶対に」「必ず」などの約束)
- 法的判断が必要な内容

会話の流れ:
最初のメッセージには挨拶を含め、「どのようなリフォームをお考えですか?」と聞いてください。
2〜3往復でお客様の状況が把握できたら、「担当スタッフがより詳しくご案内します。よろしければショールームへのご来場またはオンライン相談はいかがでしょうか」と案内してください。

Makeでの接続設定

Makeのシナリオは以下のモジュールで構成する:

  1. LINE Messaging API > Watch Events:LINEのWebhookを受信
  2. HTTP > Make a request:Claude APIに会話履歴とメッセージを送信
  3. LINE Messaging API > Reply to a Message:Claudeの返答をLINEに返送
  4. Notion > Create a Database Item(またはGoogle Sheets > Append Row):会話を記録

会話の文脈を保持するために、Makeのデータストアに「userId別の会話履歴」を保存して、次のメッセージ送信時にClaudeのMessagesに渡す実装が必要だ。会話履歴がないと、Claudeがコンテキストを忘れて毎回最初から対応してしまう。

担当者への通知設計

以下のような条件が満たされたとき、担当者のLINEや Slackに通知を送る設定を加える。

  • お客様が「商談を希望する」「来店を検討している」という返答をした
  • 会話が3往復を超えた(複雑な質問が続いている)
  • キーワード「急いで」「来月」「今週」などが含まれる(時間的に急いでいる顧客)

この通知によって担当者が「今すぐ人間が対応すべきお客様」を見落とさない仕組みを作る。

導入後の効果と課題

効果

  • 夜間・休日の問い合わせに即座に返答できるようになった
  • 初回対応で「この会社はレスポンスが早い」という印象を作れた
  • ヒアリング内容がNotionに記録されるため、担当者が引き継いだ際に会話履歴を確認してから電話できるようになった

課題

画像を送ってきたお客様への対応が弱い。「今のキッチンを写真で送ります」という場面でBotが画像を解析できず、「テキストでご説明ください」と答える場面が続いた。Claude APIのビジョン機能を組み込むと解決できる可能性があり、次のアップデートとして検討中だ。

まとめ

キッチンリフォーム会社のLINE Bot+Claude構成は「24時間初期ヒアリング→担当者通知→引き継ぎ」のフローで実用的に機能する。Makeを使えばコード不要でつなぎ込みができ、Systemプロンプトの設計次第でBotの品質が大きく変わる。AIが対応する範囲と人間が対応する範囲を明確に設計することが、顧客体験の品質を保つうえで最も重要なポイントだ。