Zapierが「エージェント」という概念を業務自動化に持ち込んだのがZapier Centralだ。従来のZapとは違い、「状況に応じて判断しながら複数のアクションを実行する」という動きができる。

Zapier Centralとは何か

Zapier Centralは、Zapierが2024年に公開したAIエージェント機能だ。通常のZapが「AしたらBする」という固定フローなのに対して、Centralのエージェントは「状況を見て、必要なツールを自分で選んで動く」というより柔軟な挙動をする。

例えば「顧客からのメールに返信して、内容によってはCRMに登録して、重要そうならSlackに通知して」という指示を自然言語で書くと、エージェントがメールの内容を読んで適切な行動を選択する。「重要かどうかの判断」を毎回ルールとして書かなくていいのが、従来のZapとの大きな違いだ。

エージェントの作成手順

Zapier Centralへのアクセスは、Zapierのダッシュボードから「Central」を選ぶ。

最初にやることは、エージェントに「どんな役割を果たしてほしいか」を書くことだ。ここは自由記述で、「あなたはARCTERIS社のカスタマーサポート担当です。問い合わせメールを読んで、内容を分類し、担当者に転送してください」という形で指示を書く。

次に、エージェントが使えるツールを設定する。Gmail、Slack、Googleシート、HubSpotなど、Zapierが対応しているアプリをエージェントの「道具」として割り当てる。ここで選んだアプリの中からエージェントが必要なものを判断して使う。

あとはトリガーを設定するだけだ。「メールが届いたとき」「特定のフォームが送信されたとき」「スケジュール実行」などから選べる。設定が終わったらテストモードで動作確認して、問題なければ有効化する。

実務活用例:問い合わせルーティングエージェント

士業事務所での活用例として、問い合わせのルーティングが実用的だ。事務所に届く相談メールは内容がバラバラで、税務なのか労務なのか法律なのかを読んで振り分けるだけで時間がかかる。

Centralで「メールを読んで内容をカテゴリ分類し、担当者のSlackに転送するエージェント」を作ると、この振り分け作業が自動化される。Claudeなどの大規模言語モデルほど精度は高くないが、パターンが明確な分類タスクなら十分使える。

実務活用例:SNSコンテンツ管理エージェント

動画サブスクサービスのマーケティングチームで使えるのが、コンテンツカレンダーの管理だ。「今日公開するコンテンツの紹介文をスプレッドシートから取得して、Twitterに投稿して、結果をログシートに記録する」という流れをエージェントに任せられる。

投稿後のエンゲージメントをフォローするところまでは今のところ難しいが、投稿作業そのものの自動化には十分対応できる。

MakeとZapier Centralの使い分け

MakeとCentralは目的が少し違う。Makeは複雑な条件分岐や細かいデータ変換を伴うフローに向いていて、エンジニアに近い視点で設計できる人に向いている。

Zapier Centralは「自然言語で指示を書けばそれなりに動く」手軽さが強みだ。プログラミングの知識がほとんどない担当者でも使い始めやすい。

判断に迷うなら、まずCentralで試して、細かい制御が必要になったらMakeに移行するという進め方がリスクが少ない。

料金と注意点

Zapier Centralは現在Zapierの有料プランに含まれる形で提供されている。プランはTeam以上での利用が前提になる場合があり、詳細はZapierの公式サイトで確認が必要だ。

注意すべきは、エージェントが「判断を間違える」ことがある点だ。自律的に動くだけに、意図しない動作をしたときの影響範囲が広くなりやすい。最初は通知だけ行うエージェントとして動かして、判断精度を確認してから実際の処理を任せる段階を踏む方が安全だ。