カメラの前に立って話さなくても、AIアバターが代わりに説明してくれる動画が作れる時代になった。HeyGenはその仕組みを提供するツールで、スクリプトを書けばアバターが読み上げる動画を生成してくれる。

HeyGenで何ができるか

HeyGenの基本機能は「AIアバターが話す動画の生成」だ。用意されたアバター(人物の3Dモデル)を選んで、テキストを入力すると、そのアバターが話す動画が生成される。音声もAIで生成されるため、ナレーターや出演者を用意する必要がない。

もうひとつの大きな機能が「Video Translation(動画翻訳)」だ。既存の動画をアップロードすると、別の言語の音声に置き換えた動画を生成してくれる。口の動きも変換後の言語に合わせて調整するリップシンク機能があり、自然な仕上がりに近づいている。

これにより、日本語で作った解説動画を英語・中国語・韓国語版に展開するコストが大幅に下がった。

基本操作:アバター動画の作り方

HeyGenにアクセスしてアカウントを作成したら、「Create a Video」から動画制作を始める。

アバターの選択は、プリセットの中から選ぶか、自分のアバターを作成する。プリセットには様々な人種・年齢・服装のアバターが用意されていて、コンテンツのトーンに合わせて選べる。

スクリプトはテキストで入力する。一つのシーンに一人のアバターが話す形が基本で、スライドや画像と組み合わせて複数シーンの動画を作ることもできる。

音声は日本語を含む多言語から選べ、性別や年齢感が異なる複数の音声が用意されている。ここでElevenLabsのカスタムボイスに比べると選択肢の数は限られるが、標準品質は十分だ。

カスタムアバターの作成

自分の顔を使ったカスタムアバターを作れるのがHeyGenの差別化要素のひとつだ。

作成にはカメラを見ながら「同意文」を読み上げる動画のアップロードが必要になる。Anthropic(Claudeの開発元)のような企業では、自社の代表者や広報担当者のアバターを作って、各国語版の説明動画を量産するという活用がある。

同意文の読み上げは権利保護のためで、本人の同意なくアバターを作ることはHeyGenの規約で禁止されている。カスタムアバターを使う場合は必ず本人の同意を得ることが前提になる。

多言語展開での活用

動画サブスクサービスのコンテンツ紹介動画への活用で試したのが、日本語版から英語・韓国語版への自動展開だ。

まず日本語でスクリプトを作成してアバター動画を生成し、その動画をHeyGenのVideo Translationに入力すると、英語・韓国語版の動画が生成される。口の動きが音声に合わせて変換されるので、違和感は完全にゼロではないが、字幕なしでも理解できるレベルの品質は出る。

翻訳の精度は言語ペアによって差がある。日本語→英語は自然度が高いが、日本語→韓国語は専門用語の扱いで精度が下がることがある。最終的には各言語のネイティブスピーカーが確認する工程を省かない方がいい。

品質の限界

HeyGenのアバター動画は、見る人によっては「AI感」を感じる仕上がりになる。特にアバターの目の動きや細かな表情変化が、生きている人間と比べると単調になりやすい。

長い動画(5分以上)になると、変化がないアバターが話し続けるだけになってしまい、視聴維持率が下がりやすい。スライドやテキストアニメーションと組み合わせて、画面の変化を作る工夫が必要だ。

料金

無料プランは月1分の動画生成が上限で、ウォーターマークが入る。本格的に使うにはEssentialプラン(月$29)以上が必要で、月15分の動画生成が含まれる。ProプランはCreator以上で月$89から、追加の機能とカスタムアバター作成が使える。

月に数本の動画を作る程度ならEssentialプランで収まることが多い。大量に生成する場合や高品質な出力が必要な場合はBusinessプランへの移行を検討する。

総評

HeyGenはナレーターや出演者なしでプロっぽい説明動画を量産したいニーズに応えられるツールだ。多言語展開のコストを下げる目的でも実用的で、国際展開を考えているブランドや動画サービスには試す価値がある。アバターの「AI感」は割り切りが必要だが、使い道によってはその手軽さの方が価値が高い。