「人が映る動画」のコストが高すぎる問題
企業向け動画制作で、人物が出演する動画はコストが高い。出演者のスケジュール調整・スタジオ費・撮影・編集・NG対応と、工程が多い。簡単な説明動画でも10〜30万円かかることは珍しくない。
HeyGenはAIアバターを使って、テキストを入力するだけで「人が喋っているように見える動画」を生成できるツールだ。一定の用途では人物撮影を完全に代替できる。動画制作会社がこれをどこに使い、どのくらいコストを下げられたかを実態に即して伝える。
HeyGenの基本機能
HeyGenには大きく2つの使い方がある。
プリセットアバター
HeyGenが用意した多数のAIアバター(外国人・日本人モデル風など)を選んで、テキストを入力すると喋る動画が生成される。すぐに使えるが、アバターが汎用的すぎてブランドの顔としては使いにくい。
カスタムアバター
実際の人物を2〜5分撮影すると、その人のAIアバターが作れる。以後はテキスト入力だけでその人物が喋る動画が生成される。スケジュール調整・撮影・NG対応のコストがゼロになる。
今回の事例で使ったのは主にカスタムアバターだ。
コスト70%削減の内訳
動画制作会社が以前に人物撮影で制作していた動画のコスト例:
- スタジオ費:3万円
- カメラマン・音声:3万円
- 出演者調整・交通費:2万円
- 撮影日の制作費(AD・ディレクター):2万円
- 編集費:5万円
- 合計:15万円前後
HeyGenのカスタムアバターに切り替えた後のコスト:
- アバター初期作成(1回):撮影1時間+HeyGenの処理費用
- 動画生成費:HeyGenのSubscription費用(月額約100〜250ドル)
- 編集費:2万円程度(テロップ・BGM追加)
- 合計:初回以降はほぼ編集費のみ
アバター作成は一度やれば繰り返し使えるため、動画本数が増えるほどコスト削減率が上がる。月10本以上制作する場合、制作コストは70%以上削減できる。
特に効果があった用途
製品・サービスの説明動画
「この製品の使い方を5分で説明する」動画は、内容が確定していればテキストだけで量産できる。撮影NG・言い間違いを気にする必要がなく、修正は「テキストを直す」だけで完了する。
多言語展開
HeyGenは生成動画の音声を別言語に変換する機能がある。日本語で作ったアバター動画を英語・中国語版にするのが数クリックでできる。輸出向けのアイテム説明動画で活用している。
定期更新コンテンツ
「週次のニュースレター動画」「月次のご報告動画」など、定期的に内容が変わるが形式は同じ動画。テキストを更新するだけで同じアバターが新しいコンテンツを話してくれる。
使えない・難しい用途
正直に書く。
感情表現が求められる場面
表彰スピーチ・感謝動画・インタビュー動画のように、感情のニュアンスが重要な動画にはAIアバターは向かない。動きが自然でも、感情の「乗り」が薄く感じられる。
高解像度の全身撮影
現状のHeyGenは上半身アバターが主流だ。全身を映したプレゼンテーション動画や、立ち姿が必要な動画には対応しきれない。
ブランド認知度が高い「顔」の代替
CEOや著名な広報担当者として認知されている人物のアバターは、クオリティ的には作れても「本物の代役」として使うには倫理的な注意が必要だ。アバター動画であることを視聴者に開示する運用が推奨される。
導入時の確認事項
同意取得
カスタムアバターを作る際は、出演者(社員・クライアントなど)の明確な同意が必要だ。アバターがどう使われるかの説明と、書面での同意取得を推奨する。
プラン選択
HeyGenには無料プランもあるが透かし(ウォーターマーク)が入る。ビジネス利用にはCreatorプラン以上が必要だ。
まとめ
HeyGenのカスタムアバターは「定型的な説明・案内動画」の制作コストを大幅に削減できる実用的なツールだ。月10本以上の動画を制作する会社では、70%コスト削減も現実的な数字だ。一方で感情表現・全身映像・高感情系コンテンツには向かない。用途を絞って部分導入から始めるのが失敗しにくいアプローチだ。